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Sus8システム
2026/09/10
Certinia、業務を実行するAI基盤「System of Action」を発表—部門横断のデータ連携で自律化へ
AI導入率98%でも、期待を超えた企業は20%
提案書の下書きは速くなっても、受注後の人員配置や請求処理では担当者同士の確認が続きます。生成AIを個々の仕事に取り入れることと、サービス事業全体の生産性を高めることには隔たりがあります。Certiniaが2026年9月9日に発表した「System of Action」は、その隔たりを部門横断の業務連携によって埋めようとする基盤です。

Certiniaは、コンサルティングなどの専門サービス事業に向けて、プロジェクトや要員配置を管理する業務自動化ソフトウェアと財務管理ソフトウェアを提供する企業です。今回の発表では、AI製品群「Veda AI」の過去最大規模となる拡張も実施しました。対象はサービス提供部門に限らず、財務部門や、顧客の継続利用・活用を支援するカスタマーサクセス部門にも及びます。



同社が引用する「Global Service Dynamics」2026年版によると、サービス・IT組織の98%が何らかの形で業務にAIを導入しています。しかし、プロジェクトが期待を上回ったと回答した割合は20%にとどまりました。その20%に属する組織のうち、70%超が営業、サービス提供、財務、カスタマーサクセスにまたがる業務を完全に統合していると回答しています。

この結果だけで、部門統合がAIの成果を生んだという因果関係までは断定できません。それでも、導入企業が確認すべき論点は明確です。文章の生成速度だけを測るのでは、後続工程で発生する確認や転記の負担を見落とすおそれがあります。Certiniaは、AIが業務の前後関係を把握し、実際の処理まで進められる環境を整えることに、今回の製品拡張の軸を置いています。
3層構造で「情報を読む」から「業務を動かす」へ
System of Actionを理解する鍵は、AIモデル単体ではなく、情報の把握から判断、実行までをつなぐ構造にあります。Certiniaの最高製品・技術責任者であるRaju Malhotra氏は、決められた手順をたどる従来の自動化を超え、企業固有の文脈を理解し、判断を加え、結果から学びながら自律的に行動する仕組みとして説明しています。

最初の層は「foundational context」です。顧客関係管理システム、財務システム、プロジェクト管理基盤にある構造化データと、通話の文字起こし、会議メモ、チャットのやり取りといった非構造化データを統合します。構造化データは金額や日付など所定の形式で管理される情報、非構造化データは自由な文章などの情報です。両者を扱うことで、数値や進捗だけでは捉えにくい事情も判断材料に含める設計です。



中央に位置する「compounding intelligence」は、同社が17年間にわたり蓄積したサービス業務の専門知識と、明確な規則に基づく決定論的な推論を組み合わせる層です。その上に、AIエージェントが業務フローに直接組み込まれる「agentic action」が置かれます。情報を集めて回答するだけでなく、実務の処理へ接続することを目指しています。

たとえば、プロジェクト管理では進捗表に遅延の表示がなくても、会議メモには顧客から追加要望が出た経緯が残っている場合があります。これは構造を理解するための一般例ですが、異なる種類の情報を結び付ける意味が見えてきます。もっとも、情報源を増やすだけで判断の品質が整うわけではありません。どの情報が最新で、誰が確定した内容なのかを整理する運用も、企業側の検討事項になるでしょう。
財務処理では、生成する力と規則を守る力を分ける
メールの文案と売上の計上処理では、誤りが業務に与える影響が異なります。文案であれば送信前に人が表現を直せますが、財務処理では金額や時期の誤りが後続の集計にも波及しかねません。Certiniaが判断の層に決定論的な仕組みを組み込む理由は、この違いにあります。

Malhotra氏は、大規模言語モデルが確率的に動作する点を挙げ、メールの作成などに適している背景には、人が結果を確認できることがあると説明しています。これに対して、決算や収益認識では毎回100%の正確性が必要であり、それを支えるには決定論的なルールが必要だという立場です。収益認識とは、契約やサービス提供の状況などに応じて、売上をいつ、いくら計上するかを判断する処理を指します。



ここでは、同社が掲げる要件と、製品の精度が実証されたかどうかを分けて読む必要があります。決定論的な処理は、同じ入力と規則に対して一貫した結果を返すための仕組みです。入力データや設定した規則が誤っていれば、結果まで正しくなるとは限りません。今回示された説明を、そのまま財務処理の無誤謬性を保証するものと受け取るべきではないでしょう。

日本企業が検討する際にも、生成AIへ一括して判断を任せるという捉え方では、確認すべき箇所が曖昧になります。契約内容を読み取る工程、適用する規則を選ぶ工程、金額を計算する工程、結果を承認する工程を分ければ、AIの支援範囲と管理責任が見えやすくなります。判断を伴う業務ほど、どこに規則を適用し、どの例外を人へ戻すかが導入設計の焦点です。
エージェント24種類、業務スキル135種類へ拡張
新しい基盤上で業務を担うVeda AIには、14種類のエージェントが追加され、合計24種類となりました。対象には、顧客が提案を求めるRFPへの回答、作業範囲を定める文書の下書き、プロジェクト管理、顧客の利用状況や関係性を把握する健全性の監視などが含まれます。営業活動からサービスの提供、顧客との関係維持までを扱う構成です。

同時に、「Veda Intelligent Actions」、略してVIAのライブラリーも64種類から135種類に増えました。VIAは、エージェントの能力を拡張するために追加できる個別のAIスキルに相当します。業務の目的を担うエージェントと、その目的に向けて使う個々の処理を分けて捉えると、両者の関係を理解しやすいでしょう。



具体的なVIAには、履歴書を読み取ってスキルのプロフィールへ整理する処理、顧客アカウントの状態を要約する処理、最新の業務データからビジネスレビュー用の資料を作る処理などがあります。収益計上スケジュールの生成や収益認識に関わる処理も挙げられています。文章の作成だけでなく、業務データの整理や財務領域まで対象を広げている点が特徴です。

ただし、種類の多さだけでは、自社で得られる効果は判断できません。提案書の下書きを例にすると、出力が速くても、作業範囲や前提条件の修正に時間がかかれば、提出までの短縮幅は小さくなります。評価対象は生成に要する時間だけでなく、担当者が確認し、必要な修正を終えるまでの工程全体です。自社で頻繁に発生する作業と、その前後で使う情報を照合することが、製品の機能一覧を実際の導入候補へ絞り込む手掛かりになります。
利用窓口はCertinia、Salesforce、外部AIツールにも
Certiniaは、顧客が自社に合った方法でAIを取り入れる方針を「AI Your Way」と呼んでいます。今回示した選択肢は、VedaのエージェントをCertiniaのプラットフォーム内で動かす方法、SalesforceのAIエージェント基盤「Agentforce」へ配置する方法、外部ツールからVIAを呼び出す方法です。業務機能を使う入口を、単一の画面に限定しない考え方です。

外部ツールとして挙げられたのは、AnthropicのClaudeとMicrosoft Copilotです。これらからは「Model Context Protocol」、略してMCPを使い、VIAを専用の操作画面を介さずに呼び出せるとしています。MCPは、AIアプリケーションと外部のデータやツールを接続するための共通の取り決めです。ここでの役割は、外部のAIツールからCertiniaの業務スキルを利用する接点を用意することにあります。



この構成は、従業員が普段使うAIツールを業務機能への入口にできる可能性を示します。企業側にとっては、新しい機能をどこへ配置するかだけでなく、どの利用環境へ届けるかも選定の論点になるでしょう。ただし、接続方式が共通であることと、すべての業務を同じ条件で実行できることは別の話です。

導入を検討する際には、呼び出し元の利用者が何を参照でき、どの処理を実行できるのかを確認する必要があります。たとえば、顧客の状態を要約する操作と、財務データを変更する操作では、求める権限や承認の設計が異なります。今回の発表だけでは、個別の権限設定や承認経路の詳細までは確認できません。利用窓口の選択肢が増えるほど、認証、実行権限、操作記録が各経路でどのように扱われるかを、具体的な業務に沿って確かめたいところです。
導入効果は、削減時間と確認負担をセットで測る
Certiniaは、先行利用企業での成果も紹介しています。Malhotra氏によると、提案書の下書きを自動作成する新しいVIAによって、作成時間は平均8時間から1時間へ短縮しました。プロジェクトマネジャーについては、1人当たり毎月、ほぼ週の半分に相当する時間を取り戻したと説明しています。Salesforce関連のコンサルティング企業Diabsolutは、文書作成に費やす時間を70%削減したと報告しました。



これらは、提供企業や利用企業が示した成果です。対象業務や測定条件の詳細が明らかではないため、日本企業が同じ削減率をそのまま事業計画に使うのは慎重であるべきでしょう。特に、下書きの作成時間と、内容確認を経て提出できる状態になるまでの時間は、分けて把握する必要があります。短縮した時間に加え、修正量や差し戻しの頻度を測れば、実務上の効果を判断しやすくなります。

同社は今後の計画として、2026年末までにプラットフォーム全体で100%のエージェント機能カバー率を実現すると表明しています。エージェントを40種類超、VIAを300種類へ増やす方針も示しました。ただし、機能のカバー率という目標を、あらゆる業務で人の関与が不要になるという意味に読み替えることはできません。対象機能と自律実行の範囲は、導入時に確認する項目です。

日本企業が着手するなら、繰り返し発生し、成果物の良否を担当者が確認できる業務を一つ選ぶとよいでしょう。提案書の下書きであれば、利用する顧客情報と作業範囲、最終確認者を先に決め、現状の作成時間と確認時間を記録します。そのうえで試行後の時間、修正量、情報の不足を比べる方法が考えられます。AIの処理速度と、部門をまたぐ情報の欠落を一緒に点検することが、自社で自律化を進められる範囲を見極める具体的な一歩になります。
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